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眼の病気には白内障や緑内障、角膜新患、結膜疾患など様々なものがあります。眼は動物にとっても大切なチャームポイントになります。 その眼を健康に保てるようお力になれればと思います。
主治医の先生がいらっしゃる場合は主治医の先生からご紹介いただき診察させていただく事も可能です。 診療後、主治医の先生に診断報告書を作成してご報告致しますので引き続き主治医の先生に診ていただく事が可能です。
小林 義崇こばやし よしたか
2002年 |
東京都安部動物病院に勤務 |
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2006年 |
American College of Veterinaly Ophthalmogists Basic Science Course 終了 |
2007年 |
山崎どうぶつ病院にて診療開始 |
白内障は、レンズの役割をする水晶体が白く濁る病気です。そのため、白内障になると視力が低下します。
水晶体の99%は、たんぱく質と水で構成され、健康時には透明です。その水晶体のたんぱく質が何らかの原因で変質したり、水晶体自体の代謝に異常が起きたりしてくると、水晶体が白くなり視力が低下していきます。
白内障の大半は、後天的な老化によるものです。6~7歳以上の高齢犬に起こりやすいので注意しましょう。
また、年齢に関係なく糖尿病や中毒などによって起こるケースもあります。
目の奥をよく見て、瞳孔の奥が白くなっていたら白内障と考えて間違いありません。
目が見えにくくなるため、フラフラと歩行したり、何かにしょっちゅうぶつかったり、物音に強く反応したりします。
薬で水晶体の白い濁りを取り除くことはできませんが、進行を抑えることはできます。濁りがひどくなった場合、手術で水晶体自体を取ってしまうこともできます。
水晶体を取ると、目のピントが合わなくなり、目が見えにくい状態になります。目が見えないことを考慮してあげ、家の中の障害物をなるべく取り除き、安全を心がけてあげましょう。
眼球の前房という部分の中の液体、房水が増え、眼圧(房水の圧力)が高くなって起きる病気です。ひどくなると失明する可能性もあるので早期発見、早期治療が重要です。
眼圧が高くなる原因は、眼球の前房という部分を満たしている房水という液体が増えるために起こります。
この液体は、隅角(ぐうかく)という目のはしっこの部分から排出され、毛様体や虹彩というところで吸収されます。しかし隅角付近に異常があると排出されにくくなり、房水が増えて、眼圧が高くなってしまいます。
特徴的なのは、目の色が緑や赤色に変わります。緑内障になると瞳孔が開きっぱなしになるため、目の奥の緑や赤の組織が見えるようになるからです。ものが見えにくくなって、目をしきりにこするようになります。
ひどくなると視野が狭くなったり、視力が低下したりします。眼圧が上がるために、目が充血して、眼球が飛び出してきます。
原因となっている房水を減らします。利尿剤で排出を促したり、炭酸脱水酵素阻害薬で房水がつくり出されるのを抑えたりします。それでも眼圧が下がらない場合は手術が必要です。
片側の目が緑内障になるともう片方の目も緑内障になることが多いので、治っても定期的な検診を受けるようにしましょう。
結膜は、まぶたの裏側にある膜。この部分に炎症が起きるのが結膜炎です。犬の目の病気で一番起きやすい病気です。
結膜炎は、目を強くこすったり、目に毛が入ったりして目に傷がついたり、細菌やウイルス感染、シャンプーなどの化学薬品による刺激、アレルギーなどで引き起こされます。両目とも感染している場合は、原因が細菌やウイルス感染やアレルギーが考えられます。
目が大きく眼球が飛び出ている犬種(チワワ、パグ、ペキニーズなど)は特にかかりやすいので、日頃から注意してあげましょう。
急性の場合は、目が充血してまぶしそうに光を見ます。目ヤニや涙が増え、目ヤニが膿のようになって、目の周囲の毛が塗れたり汚れたりします。痒みがあるので、目をこすったり引っかいたりするのも特徴です。重症になるとまぶたが腫れてきます。
原因が何なのかをまずつきとめましょう。
毛が入っている場合は毛を抜きます。細菌やウイルスの感染が原因の場合は、抗生物質の目薬や眼軟膏で治療をします。シャンプーなど化学薬品が原因なら、まず目の洗浄が必要です。
痒みのために目をこすりすぎる場合は、エリザベスカラーをつけて、こすったりかいたりすることを防止します。
ドライアイとは、涙液中の水分が欠乏する事で結膜と角膜の乾燥や炎症、眼疼痛などを引き起こす疾患です。
慢性的な眼瞼結膜炎(まぶたの炎症)、先天性(涙腺の形成不全)、外傷、薬剤(麻酔薬や抗生剤など)、代謝性疾患(甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症など)など多岐にわたりますが、最も多いのは免疫が関わった物です。免疫の異常によって涙腺が炎症を起こし、涙腺組織が減少して涙が少なくなることで発症します。
赤目(レッドアイ)、眼痛、粘性または粘液膿性眼脂(目やに)
免疫介在性ドライアイの場合は涙液量の回復にシクロスポリン点眼液(免疫抑制剤)を1日2回使用します。改善には時間がかかります。シクロスポリン点眼で涙の量が回復するまでの間は、人工の涙液やヒアルロン酸点眼などを使用します。粘液膿性の眼脂(目やに)が見られる場合は細菌感染が疑われますので抗菌剤の点眼液を使用します。シクロスポリン点眼薬は良好になっても途中で薬をやめてしまうと再発しやすいので継続する必要性が大事になります。
角膜の表面の上皮が部分的にとれた状態を「びらん」といいます。簡単に言うと角膜の表面を浅くすりむいた状態です。
初期の内から適切に治療をしないと、痛みから自分でさらに目を掻いてしまったりして傷が深まり、角膜穿孔を起こす危険性があります。
さらにはSCCEDs( スケッズ といって、角膜上皮と角膜実質の間の細胞の接着が弱いことによる再発性、難治性の角膜潰瘍になることもあります。
目を開けられない、涙が多い、結膜の腫れ
<点眼薬>
抗菌剤や角膜保護の点眼薬で目を守りながら修復を待ちます。
角膜保護のヒアルロン酸点眼は1日に何度も(6 回以上)点眼する必要があります。
傷が深い場合などは角膜に修復用の栄養を与えるために自己血清(自分の血液から血清を作成し、点眼する方法)が選択される場合があります。
<エリザベスカラー>
自分で目を掻かないようにエリザベスカラーを装着します。
鼻先が出ないサイズ以上でないと掻いてしまう危険性があります。また、カラーを外してしまうとちょっとした隙に掻いてしまうことがありますので、原則寝る時やご飯の時も装着してもらいます。
犬や猫の目頭に小さなサクランボのように見えるため「チェリーアイ」と呼ばれます。
動物の下の瞼の内側には、人にはない3番目の瞼(まぶた)として「第三眼瞼(だいさんがんけん)」があります。
第三眼瞼の裏側にある第三眼瞼腺(瞬膜腺)が生まれつき、もしくは腫瘍、怪我、感染症など何らかの原因で表側に飛び出してしまったものをチェリーアイといいます。
目の目頭の下側にポコンとピンク色から赤い色の小さな腫れ物が出来ます。チェリーアイの症状は、気にしない軽度なレベルから瞬きの回数や目やにが増えたり、赤目、目をこするような仕草など重度な物まで様々です。少しづつ腫れて大きくなると元に戻りにくくなり、赤目、目やに、粘膜出血など悪化することもあります。
点眼薬や内服薬を投与し、飛び出した第三眼瞼腺の炎症を和らげさせます。軽度な場合には、炎症が改善され、収まったり、チェリーアイの粘膜に触れないように瞼の上から手で押し込むことで一時的に改善できることもあります。しかし、多くの場合は再発する場合がございます。そのような場合は、手術を行います。
目の黒目部分を覆っている角膜が黒い沈着(斑点)が見られる病気です。
ヘルペスウイルスが原因と言われております。
痛がっていたり、涙の量が多い事が挙げられます。
エリザベスカラーで感染予防しつつ、抗ウイルス薬の点眼や内服での長い期間の治療が必要です。
場合によっては手術をする場合もあります。
目にみられる腫瘍の中で比較的発生率が高い病気です。眼球内の腫瘍は、確認が困難なことが多く、確認できたころにはすでに腫瘍は大きくなっていることが多いです。
黒目の色が変わっていたり、涙が多く出ているなどがあります。
他にも、眼球内の出血や炎症、充血、水晶体の脱臼、緑内障、眼球の変形などの異常を示すことがあります。
一部の腫瘍では、眼球を摘出することなく治療が可能なものがありますが、基本的な治療は、眼球の摘出や部分切除、術後には放射線療法や化学療法(抗がん剤)が適応となります。
眼球摘出に関して、驚かれるかもしれませんが、皮膚にできたメラノーマと違い、眼球メラノーマは腫瘍だけを切り取ることができません。そのため、眼球にできたメラノーマを治すためには眼球を摘出する必要があります。