専門科ネットワーク
SPECIALTY DEPARTMENT NETWORK
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当院が心臓科を設けた理由は、昨今、動物も高齢化が発生している事が大きな理由です。
高齢化が進み、心臓病で来院されるケースが多くなってきました。
心臓病は、早期発見が大事にです。
実は心臓病は、飼い主様にとって気が付きにくい事がネックになります。
心臓病は、大きく3つのステージがあります。
症状がない時期
症状が少し出ている時期(散歩などした後に、疲れやすくなっている時期)
安静にしても症状が見られる時期(進行している時期)
獣医でしか気づけないのは、1の症状がない時期です。
この時は、聴診をしたときに雑音があったり、健康診断でたまたまレントゲンを撮影したら、心臓が多くなっているなど気が付きます。
やはり、気が付く時期が早ければ早いほど治療開始が早くなりますので、その後の生存期間や生活の質(QOL)に大きな差が出てきます。
そういった事から、当院では早く心臓病を発見して、少しでも長い期間を動物と一緒に過ごしていただきたいという想いから、心臓の専門医による心臓科を開始しました。
中村 和弘なかむら かずひろ
2009年 |
埼玉県内の動物病院に勤務 |
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2011年 |
東京動物心臓病センター勤務 |
2018年 |
日本獣医循環器学会認定医 合格者は日本全国で109名(2018年6月現在) |
岩永 孝治いわなが こうじ
心臓は、4つの部屋で出来ており、上側の2つの部屋(心房)と下側の2つの部屋(心室)がそれぞれ順番にポンプのように縮んだり、膨らんだりすることで、血液を体全体に巡らせるようにします。
僧帽弁とは心臓の左側にある2つの部屋を隔てる弁であり、血液が逆流することを防ぐ役割をしています。
僧帽弁閉鎖不全症は、この僧帽弁が年をとるとともに衰えてしまい、充分な役割を果たす事が出来なくなる事で、全身に流れるべき血液が逆流してしまう病気です。
僧帽弁は、糸のような細い腱で開閉しますが、この腱や腱を支える乳頭筋の異常によって僧帽弁が閉じられなくなって起こります。
僧帽弁の老化により、厚くなって起こる例も多く、高齢な犬ほど発病しやすいのも特徴です。
初めは、心臓の雑音のみで、目立った症状はありません。
しかし、病気が進行していくと徐々に運動が出来なくなってきます。ほっておくと、失神したり呼吸困難を起こし、血液が逆流した事で起こる肺水腫という肺に水が溜まる病気を引き起こします。
早期であれば、薬により病気の進行を遅らせる事が出来ます。
また、手術で治療する場合もございます。
近年 ワンちゃん達の寿命が伸び、かつエコーなどの検査機器や薬の開発、心臓の病気に対する理解が進んだこともあり、よく病院で診ることが多くなった病気です。
原因としては 僧帽弁閉鎖不全症などの心疾患や気管虚脱などの呼吸器疾患、血栓が原因となる肺梗塞など様々です。
特に僧帽弁閉鎖不全症との合併の場合、心臓のエコー検査や血圧検査の解釈を丁寧に行う必要があります。
飼い主様が普段の生活の中で、気を配っていただくと分かるものは以下です。
肺高血圧症を引き起こす原因となっている心臓疾患などの治療がメインとなります。
さらに、肺高血圧症の状態を緩和させるするために投薬することで、症状を抑えながら、原因を治療していくようになります。
先天性心疾患のひとつです。心臓の仕事は、生命に必要な血液を身体全体に送り出すことです。心臓は、右心室、左心室、右心房、左心房と4つの部屋があり、各心房と心室は中隔と呼ばれるもので分けられています。心室中隔欠損症は、左心室と右心室の間を仕切る中隔の一部が欠損して、穴が開いている状態をいいます。
遺伝性または妊娠中に何らかの原因で、心臓に解剖学的に異常を持ってしまっている疾患です。
心室中隔欠損症は、開いている穴の大きさなどにより症状は異なります。
左心室の血液量が増えるので、左心室が拡張して、心臓の機能が低下します。その結果、 肺気腫になったり、咳をしたり、動けなくなったりします。
飼い主様が普段の生活の中で、気を配っていただくと分かるものは以下です。
最終的には、外科手術を考える必要があります。しかし、症状によりますが、内科的治療をしながら安静と食餌療法を続けることで、安定した状態で過ごすこともできます。
動脈管とは、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時に肺動脈から大動脈への抜け道になっていた血管のことです。
通常、生まれた後、肺呼吸になることで不要になるため、自然に閉じていくのですが、なんらかの理由により、この動脈管が閉じずに残ってしまっているのが動脈管開存症という病気です。
動脈管が広く開いていない場合は、症状も軽いため、健康診断などで、心臓に関する検査を受診した時やある程度の年齢になった際に発見されます。
重度の場合は、幼いころから咳や呼吸困難、食欲不振・動きたがらないという症状があり、成長が妨げられて、大きく成長が出来ないということもあります。
残念ながら、完治させるための薬はないため、手術が基本です。
心不全を起こしているなど、症状が酷い場合は、まずは利尿剤や血管拡張剤、強心剤により症状が緩和されるようにします。
手術は、胸を開いて、しっかりと動脈管を結紮する方法とカテーテルによるものがあります。
胸を開くほうは、合併症などありますが、動脈管を結紮する分、成功率が高いです。
一方、カテーテルによる手術は、胸を開かない分、動物に対して負担は小さく済むメリットがありますが、カテーテル手術が行える動物の大きさに限界がある事と動脈管の状態によっては実施できない事があることが欠点です。
心筋症には、肥大型の他 拡張型、拘束型、不整脈源性、分類不能型などがありますが、猫では心筋が厚くなる肥大型心筋症が一番多く遭遇します。若い猫で発症する物は、遺伝子異常が疑われています。
ネコちゃんの場合、10頭のうち3頭は心臓の雑音すらないと言われているほど無症状が多いです。心臓のエコーであれば、早い段階で見つけることができますので、健康診断の時に受診いただくことをオススメします。
ネコちゃんは突然死が多いと言われており、突然朝起きたら亡くなっていたというケースをよくあります。
実は、突然死ではなく症状は前からあったと思いますが、ネコちゃんは寝ている事が多いため、飼い主様が異変に気がつかないのも無理がない話です。ぜひ、専門医に心臓のエコーを見ていただくと良いです。
投薬による内科治療がメインとなります。進行して、胸水が溜まることも少なくなく、その場合は胸水を抜いたり利尿剤を使用したりします。症状の悪化などで血栓症を起こした場合には血栓溶解療法や血栓を摘出する手術もありますが、非常に致死率の高い状態です。
<気を付けたい症状>
ワンちゃんの場合は、散歩で疲れやすくなった場合は受診された方が良いです。
ネコちゃんの場合は、症状がないため、ある程度の年齢をいった場合、定期的に健康診断に心臓のエコー検査を入れていただくことをオススメします。