専門科ネットワーク
SPECIALTY DEPARTMENT NETWORK
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皮膚の病気は、痒がったり、掻きすぎて毛が抜けてしまったり、赤くなったりなど目に見える病気であるため、飼い主様にとっても、つらいものだと思います。
皮膚病は、原因がばい菌によるもの、アレルギーによるもの、ホルモンの代謝によるものなど様々な要因が複雑に絡み合っているため、原因特定や治療に時間がかかる物です。
当院では、少しでも早く完治できるよう皮膚科専門診療の時間を設けました。
島崎 洋太郎しまざき ようたろう
2010年 |
酪農学園大学卒業 都内病院にて一般診療獣医師として勤務 |
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2012年 |
東京農工大学動物医療センターにて全科研修医として勤務 |
2015年 |
株式会社VDT所属皮膚科診療担当 |
2017年 |
東京農工大学動物医療センター皮膚科 アジア獣医皮膚科専門医協会レジデント 現在に至る |
皮膚の化膿性の細菌感染症で、もっとも多くみられる皮膚炎のひとつです。
細菌感染の深さによって、表在性・浅在性・深在性に分類されます。慢性化すると治りにくく、治療も長期間にわたります。
化膿菌によって引き起こされる皮膚の感染症を膿皮症と呼んでいます。
膿皮症には皮膚の最も表面だけにできるもの(表在性膿皮症)と深い所にできるもの(深在性膿皮症)の 2 種類があります。
治ることは治りますが、治療をやめるとすぐに再発して、膿皮症の再発を繰り返すことが曲者です。
簡単なものは、ばい菌感染が原因です。
ただ、ケースによってはアレルギーによる皮膚炎が関係しているものもあります。
アレルギーによる炎症が起こると、皮膚のバリアが下がります。そういった状況に、ばい菌感染を引き起こしてしまっている場合もあります。
また、甲状腺機能低下症という病気が関連している場合もあります。年をとったワンちゃんに多い病気ですが、甲状腺ホルモンの分泌が下がる事で様々な病気を引き起こるものです。
甲状腺ホルモンが下がってしまうと、色々な部分での退社が低下し、皮膚の新陳代謝も悪くなります。皮膚の新陳代謝が悪くなれば、やはり皮膚のバリアが低下し、ばい菌感染を起こしやすい皮膚になりやすくなってしまうわけです。
一番分かりやすいのは、ひっかいて、皮膚が赤くなっていたり、かゆがっている事です。
その際、子犬の時から、起こっているか確認させていただき、膿皮症に隠れたアトピー性皮膚炎が原因となっているか調べていきます。子犬ではなく、8歳など年齢が上がってから皮膚炎が治りにくくなっていた場合は、甲状腺機能低下症を疑います。
正確な治療法が要求されます。時々、様々な治療が長期間にわたって必要になることがあります。単純に細菌感染などで膿皮症になっているだけであれば、原因となっているばい菌を抗生物質で治療してあげて、皮膚の衛生環境を良くしてあげることで治ります。
膿皮症は治療に対して抵抗することがあり、いくつかの例では回復の見込みが非常に薄い場合もあります。時々、細菌が引き起こした感染が抗生物質によく抵抗することがあり、効果的な薬物の選択が困難な場合もあります。そこで皮膚の培養を反復して行なう必要があります。中には 1 回、あるいはそれ以上の外科的処置が必要なこともあります。
また、アレルギーによるアトピーが関連している場合は、その治療も必要になります。
そして、甲状腺機能低下症が原因となっている場合は、甲状腺の治療も行わないと、皮膚の新陳代謝が良くならないため、皮膚炎を繰り返す事になります。
アレルギーにしても甲状腺機能低下症に関しても血液検査を行い原因特定していきますが、いきなりステロイドは使いません。
また、抗菌シャンプーで皮膚を綺麗にしてばい菌を抑える治療を一定期間行います。
その時、炎症が改善されるかどうかを確認し、改善されない場合は寄生虫やアトピー、食物アレルギーなどアレルギー疾患を疑い治療をしていきます。
原因が、ばい菌、アレルギー、甲状腺などの内分泌など多岐にわたるため、治療には時間がかかります。しかし、時間がかかる分、原因をしっかり特定していきますので、再発する可能性を下げることができます。
ダニや花粉などが原因でアレルギー反応を起こす病気です。若いうちに発症し、特定の季節のみに症状が現れますが、年をとっていくうちに、1年中症状が出てしまうケースもあります。初めは、かゆみですが、皮膚炎になっていきます。アレルギー反応であるため、症状が良くなったり悪くなったりと繰り返します。
ダニや花粉などが原因でアレルギー反応を起こす病気です。
完治が難しいと言われております。そのため、かゆみを抑える治療がメインとなります。
かゆみを抑えるために、シャンプーや飲み薬、食事を組み合わせて治療していきます。
薬はステロイドによるものが多く、飲み薬や塗り薬などで治療していきます。
皮膚の状態によっては保湿系のスキンケアを行っていくこともございます。
特定の食べ物に含まれているタンパク質などの成分に対してアレルギーを起こす病気です。原因となる食べ物を食べた際、体の中で、害のあるものと勘違いし、攻撃してしまう事で炎症を起こしたりします。
主にタンパク質が原因と言われております。タンパク質といっても、多くの種類がありますので、どの食べ物に含まれているタンパク質が原因かが重要です。
アレルギーの原因として挙げられる食べ物として、肉類、魚、穀物(大豆、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、米)などがあります。
生涯、アレルギーの原因となる食べ物を避ける必要があるものです。
まずは、アレルギーの原因となっている成分を特定し、その成分を含まない食べ物に変えていただくことで症状が軽くなっていきます。
おやつや人の食べ物をあげてしまうと、再発してしまう可能性があるため注意が必要です。
治療していく際は、療法食とお水だけ与えるようにしていく必要があります。
アレルギーの原因となる成分を検査で特定し、その子に合った療法食を一緒に選んでいきましょう。
気を付けていきたいことは、アレルギーの療法食がいくつかあるうちの一つを決めたら、他のものを与えない事が重要になります。専門用語で除去食試験といいますが、アレルギーの原因となっている食材を特定するために、特定の食品だけで2ヶ月食べてみて、症状が起こるのか改善されるか調べていくものになります。そのため、除去食試験を行っている間は、他の物を与えないようにしてください。
また、よく飼い主様からの質問に血液検査でアレルギーを特定できないかと聞かれる事があります。残念ながら、花粉やハウスダストの信ぴょう性は高いですが、食事に関しては、原因となるものが多岐にわたるため、なかなか信ぴょう性が高くないところがあり参考程度のものになります。
本来、体に害のあるものを攻撃する免疫機能が、間違って自分の体を攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)です。全身性の物と皮膚だけの物の2種類があります。
原因は、はっきりと分かっていないものです。
近年、遺伝か要因やウィルスの感染などが原因と考えられております。そして、症状を悪化させるものとして、紫外線が考えられており、細胞の核に対して免疫反応を引き起こさせ、炎症反応を起こすと考えられております。
<全身性エリテマトーデス>
元気がない、食べない、熱がある、脱毛や水疱などがある。
<皮膚性のエリテマトーデス>
脱毛や、鼻や耳、目の周りに、かさぶたが出来る。
一般的には、免疫反応を抑えるために、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)を用いて治療します。
紫外線は症状を悪化させるため、避ける必要があります。
天疱瘡は、人を含む多くの哺乳動物に発生する自己免疫性(自分の体を害のある物として認識し攻撃してしまう)の皮膚疾患です。表皮の細胞と細胞をつなぎとめている部分が攻撃を受け、細胞同士が離れ、皮膚に異常がおきます。
異常がみられる体の場所や症状に基づいて、落葉(らくよう)性天疱瘡、紅斑(こうはん)性天疱瘡、尋常(じんじょう)性天疱瘡、増殖(ぞうしょく)性天疱瘡に分類されます。犬では落葉性天疱瘡が最も多く発生し、増殖性天疱瘡は非常にまれです。
原因は、はっきりと分かっていないものです。
夏の発症する例が多く、また夏に悪化する傾向がみられます。
一般的に、紫外線、遺伝的要因、アレルギー、細菌やウイルス感染が引き金になっていると考えられています。
<落葉性天疱瘡>
主に眼瞼(まぶた)、鼻筋、耳介(じかい)、肉球や指の間に 炎症やかさぶた、脱毛が認められます。重傷になると全身の皮膚に症状がみられることもあります。
<紅斑性天疱瘡>
充血によって皮膚にできる赤い発疹があります。
<尋常性天疱瘡>
口周り、眼の周り、肛門の周囲など、皮膚と粘膜の境界部などに水疱(すいほう)やただれが見られます。強いかゆみから、かきむしりや脱毛が認められます。
<増殖性天疱瘡>
脚の付け根、わきの下などの皮膚と皮膚が触れ合う部分が、ただれたりします。
細菌の感染がある場合は、抗生物質を投与します。
また、ステロイドや免疫を抑える薬を使用します。
天疱瘡は一旦発症してしまうと完治が難しい病気ですので、長期間もしくは生涯の治療が必要となります。